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バリアフリーでお店と利用者にwin-winを- 一般社団法人Ayumi様とのコラボレーション-

車椅子での入店を断っている飲食店が未だに報じられていますが、逆に車椅子ユーザーを快く受け入れているお店には多くの良い口コミが生まれているのをご存知でしょうか?

そんな良い循環を「バリアフリー認証」として推進している一般社団法人Ayumiの山口様に、はつゆめJAPANがインタビューしました。

障害者をとりまく社会との壁、物理・心・認識のバリア解決に取り組む
一般社団法人Ayumi
山口広登 様

【プロフィール】

車椅子生活を送る従兄弟や、重度関節リウマチで車椅子生活を送っていた祖母が生活する中で抱いた願いや想いを原点に、一般社団法人Ayumiを2021年に設立。「障害を価値に変える」店舗向けのバリアフリー認証、「情報格差を無くす」バリアフリー情報サイト、「四方良しの社会を創る」バリアフリー基金の3事業を展開している。

一般社団法人Ayumi webサイト

バリアフリーという社会問題を、持続可能なビジネスに育てる

まずは、バリアフリー認証にたどり着いた経緯を教えてください。

私のいとこが車椅子ユーザーで、いとこの動き方を見ていると、バリア(障害)が無いお店には、何度も通い、何人も友達を連れて行くんです。
物理的な意味だけでなく、スタッフの接客含めて安心感や心理的安全性があると思うんですね。

身体障害者の市場規模は436万人で、リピート率は2.8倍と言われています。高齢者の市場においても、今後もっとユーザーが増えてくるはずです。
そうすると、車椅子ユーザーを一人集めたら凄く大きな集客になるんじゃないかと目をつけました。

かつそのバリアフリーに対するアドバイスも手掛けています。障害者の方々が何に一番課題を感じているか、どのような店舗にしてもらったらいいか、どんな接客をしてもらえたら嬉しいか――。

飲食業界ではバリアフリーとマーケティングを重ねた前例はなかったので、今回私たちが「障害を価値に変える」という新たな手法を打ち出しました。

現在は、バリアフリー認証をどのように展開されていますか?

私にはInstagramとGoogleマップを通じて、大手メガネチェーンやカラオケチェーンなど数百店舗のアドバイスや集客を支援してきた実績があります。
そこにバリアフリーに対するアドバイスを組み合わせて、飲食店さんの新規集客とリピーター、ブランディングをつなげて、新たな切り口というところで今取り組んでいます。

まだまだ日本ではバリアフリーという言葉もあまり知られていないような状況なので、正直まだ啓蒙段階ではあるかなと思います。
ですが、徐々にメリットを感じてくださって、導入して良かったと言ってくださる方も増えてきているので、社会貢献だけで終わらせないという事業性も大事にしています。

ビジネスとして手掛けることにこだわっていらっしゃると。

社会貢献や非営利という側面が前面に出てしまうと、その中で働く人が疲弊してヒト・モノ・カネ・情報の資産が無くなり継続的に法人を運営できないというケースを多く見てきました。
収益を得て、半径5メートル以内の人をきちんと幸せにできるような事業のあり方を目指しています。

障害を価値に変えるというコンセプトを体現するために、まずはAyumiがいい意味で稼いでいかないといけないと思うのです。

障害があってもできる仕事、障害があるからこそできる仕事

事業の体制はどのようになっていますか?

今17名メンバーがいるのですが、そのうち8名が障害当事者で4対6の割合です。
「障害者だからできないんじゃなくて、障害者にしかできないことってあるよね、」そういうふうに捉えることのできる社会にするために、Ayumiのメンバー全員で達成するために日々お客様のためにできることを追求しています。

「はつゆめJAPAN」が支援している外国人に対しても、外国人だからできないという「認識のバリア」があります。

外国人だから、障害者だからできないんじゃなくて、彼らにしかできないことだってありますよね。
そうした障害のバリアにチャレンジしていきたいということをミッションとして掲げています。

飲食店なら仕込みや接客には問題ないんじゃないかと思えますし、後はいわゆるアウトソースのところ、広告やWeb制作の発注も切り替えてもらえるかもしれません。

大阪には、飲み屋さんのスタッフが前に車椅子で立って、お客さんも車椅子に乗りながら食事をしてもらうという「立たない立ち飲みバル」があります。
斬新なアイディアと社会貢献をちゃんと両立させるのが上手いなあと思います。
万博も近いので街の整備が進んで、機運が盛り上がっているのでしょう。

こういった飲食店さんとコラボして、障害者の活躍の場を増やしていくことはすごく重視しているので、いろいろな方と連携する環境が大事だなと思っています。

独自のバリアフリー認証で法改正を先取り

車椅子ユーザーの入店拒否を禁止するような情勢はありますか?

車椅子のお客様をないがしろにするとか門前払いとか――、接客としても良くありませんが、「障害者差別解消法」の改正によって2024年6月からは合理的配慮が努力義務から義務化に変わるんです。

飲食店さんにはまだその情報が浸透していないようです。だから、バリアフリー環境・接客に関する調査内容からなどからアドバイスをさせていただいて、新規集客・リピーター確保のところだけじゃなくて、そのリスクの部分までカバーするために展開してきているのが私たち独自の「パリアフリー認証」です。

バリアフリー認証について、もう少し詳しく聞かせてください。

調査を行い、審査に通過することで、認証書の発行を行っています。
当事者と一緒に調べるので、バリアフリーに関する的確なアドバイスができるのが特徴です。

91項目のチェック項目になっていまして、店舗の駐車場と店舗の中の環境、あとは店舗のトイレの環境。それに、私たちが大事にしているところはバリアフリー接客です。

チェック項目では、床がバリアフリー対応しているのかなどがチャートから一目でわかるようにしています。
あとは当事者からはよく「写真がまず見たい」などのニーズをいただくので、チェック済というだけでは不安だという人に対しての情報提供も行うようになりました。

バリアフリー情報サイトもできているのですか?

はい。各店舗について、調べた91項目をすべて解説するという形で掲載しています。
とはいえ当事者も一来店者です。バリアフリー情報だけではなく、店舗の雰囲気やこだわりもちゃんと分かって行きたいという希望があります。

こうして生まれたバリアフリー情報サイトは月間PV数1.5万ぐらいですが、当事者からの注目度が高いので、企業などから掲載についての問い合わせ件数も増えているような状況です。日常生活に特化したサイトを運営できているという手応えがあり、事業の柱に育ってきています。

当事者にも店舗にも伴走して、継続的によりよい店舗づくりを

バリアフリー認証、情報サイト以外にも展開している事業はありますか?

店舗の従業員にバリアフリーを学んでいただく「接客講習」があります。
私たちの強みは実店舗に伺って実施することです。座学では「学んだ」だけで終わりで実践的に生かせないという限界があるので、細かいところに気が付けるよう、店舗で体験や実技を通して身に付けてもらいます。

もう一つ、当事者達と一緒にLINEグループやメッセンジャーグループなどで伴走する取り組みがあります。
グループを組んで、質問したい時に当時者が誰かにアドバイスをするという仕組みも作っています。

障害者の課題を解決して完了という「バリアフリーコンサルティング」というのも実際にありますが、一度行って終わりじゃなくて、私たちは年間更新で長期的な支援をさせていただいています。

「はつゆめJAPAN」の運営母体である台日商事は、多様性を違和感なく認め合う社会をつくるというビジョンを掲げています。国籍であれ、障害の有無であれ、共通するところがあります。

これまでバリアフリーと聞くと、皆さんは段差がないとか手すりがないとか思うかもしれません。
私は日本に昔からある「おもてなし」とか「おすそ分け」という文化がすごく好きで、そういう優しさだったり思いやりだったりをバリアフリー認証に取り入れたいと思っています。

飲食店のオーナーや店長に聞くと、物理的な対策が難しいということが多いものです。
しかし、段差がないということ以外にもスタッフの協力によってバリアを超えることで、満足や口コミが広がることもあります。
それが、私たちの介在価値になれば嬉しいです。

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